18日目

最悪の一日だった。

 

まず寝起きは前日に飲みすぎたせいで二日酔い。

花粉症と生理痛もあり、体調は最悪だった。

 

なんとかバイト先に出勤し、頭痛薬を飲んでやり過ごす。

 

警察からバイト先に捜索の電話が行っていたこともあり、店長には電話で謝っていたが一応その後初の出勤だったので朝話をした。

シフト伝えちゃったから今日あたり親来るんじゃない?と店長に言われ、

いや流石にないっすよ…と言った。

 

だが、昼前くらいに母親が来た。

雀荘に全く似つかないおばさんが入り口に立っていた。

親がそこに立っているという事実が情けなさすぎて泣きそうだった。

店長に外出てきていいから話してきていい、と言われたのでもう行くしかなかった。

 

母と二人で近くの喫茶店に入った。

 

これまでの態度でもう家に帰る気は無いことは伝わったようで、

住所と電話番号だけは教えるように、荷物を取りに来るように、という話をされた。内定先を辞退したことにはひどく落胆された。今からでも戻れないの?と言われた。

私は目も合わせないでタバコを吸いながら言われたことに返事をしたりしなかったりした。

途中母にもタバコを一本くれと言われ一緒に吸った。

 

ちゃんとご飯食べてるの、頼れる友達はいるの、という言葉には泣きそうになった。

最後に会ってから3週間も経っていないのだが、母がすごく老けて見えた。

 

つい数ヶ月前までは同じジムに通い、あのインストラクターがどうだとか

毎日話をしていたことを思い出すと悲しくなった。

母の日に銀座のランチに連れてってあげたこともあった。

父だってずっと仲が悪いわけじゃ無い。

終電で帰っても雨だったら駅まで車で迎えにきてくれていた。

3、4ヶ月前に家族全員で映画を見に行ったこともあった。

 

どうしてこうなってしまったんだろう。

きっと私の家族はみんな精神的に弱いからうまくいかないんだと思う。

父はカッとなると手をあげたり暴言を吐くし、

母も普段は優しいのに人格否定するような言葉を浴びせられたし、

私もすぐカッとなるし面倒臭くなると全部放り投げてしまう。

 

家出をしたことは後悔するとかそういうものではなく、

そうするしかなかったという感覚だけど

家族と縁切って、何十万もかけて部屋借りて、卒業旅行も行けなくなって、

そうして私が手に入れたものは何なのだろう。

 

これが自由なのだとしたら、とても疲れる。

17日目

彼氏とデートをした。

 

最初に引っ越しの時に必要になりそうだったのでタイムズカーシェアの申し込みに行った。

家の近くにステーションがあったのと、今申し込めばしばらく学割で利用できるということで入会した。

 

それからショッピングセンターを散歩して、ランチに焼肉食べて、水族館に行って二人で年パスを作った。

 

夜はドコモショップに行ってスマホを契約した。

電話番号が変わってしまって不便だが、親名義のスマホを一刻も早くやめたかったので新規契約した。

 

帰りにツタヤに寄って映画を2本借りた。

スカイ・クロラゴーン・ガール

先月旅行で飛行機に乗ってからずっとスカイクロラが見たかったので、

先に見ることにした。

 

どんな結末だったか忘れたまま見たが、多分また忘れると思う。

 

映画を見ながら家にあった赤ワインを飲もうとしたが、

コルクが固くて全然開けられず、彼氏と二人掛かりでボトルと栓抜きを

引っ張ってなんとか抜けたのが面白かった。

抜いた時にワインが飛び散ってカーペットと壁紙が汚れてしまい

退去の時がちょっと怖い。

 

ワインを飲む前にストロングチューハイのロング缶もキメていたので

この日は記憶がないほど泥酔した。

 

15日目

 

とにかく予定が何もないので、一日中寝て過ごしている

 

これではいけないと思って、近所の喫茶店に行き資格の勉強をすることにした。

 

優しいおじいちゃんおばあちゃんが経営してるいいお店だった。

また行きたい。

 

夜は豚バラ白菜鍋とトッポギを作った。

 

14日目

 

昼過ぎに起きて、この先のこととか新居の家具とか今夜の献立とか考えていると

あっという間に夕方になって、夕飯作って食べるともう寝る時間になる。

 

働いて自炊もしてる人はすごい。

 

この日は近所の業務スーパーに行った。

いろんなものが安くて感動した。

 

夜は生姜焼きを作る予定だったが、生肉買うよりも

味がついてて焼けば食べれる肉の方が安いので迷った。

 

生姜焼きは思ったよりうまくできた。

13日目

 

朝8:30。警察からの電話で目が覚めた。

 

知らない番号だったので一度は無視したが、番号をネットで検索し警察と分かりすぐに折り返した。

 

警察はだいたい朝早いと聞いていたが本当に朝早く電話が来たのがちょっと面白かった。

 

警察の世話になったのは落し物をしたときとチャリのライトをつけずに運転して注意されたときくらいだった。

補導をされたことも職質されたこともなかったため緊張した。

 

しかし電話に出たのは普通のどこにでもいそうなおじさんだった。

 

両親が警察署に来たこと、捜索願が出され前日バイト先に電話したことを伝えられた。

 

警察は敵でも味方でもなく、ずっと中立の立場で話をしてくれた。

 

家に帰る気はあるかと聞かれ、無いと答えた。

居場所も言いたく無いですよね?と聞かれ、はいと答える。

 

それ以上は聞かれなかった。

 

捜索願の取り下げは出した親しかできないため、親に電話して取り下げてもらうか

警察署に来て警察立会いのもと話をするかのどちらかしかないと言われた。

 

実家の方まで行くのも面倒だったので、親に電話すると伝えた。

 

警察からの電話を切り、タバコを一本吸って母親に電話をかける。

 

家出してから何十回も入っていた不在着信を無視し続けていたため、2週間ぶりの会話だった。

 

できる限り事務的な口調を意識して、

捜索願いを取り下げてください。家には帰りません。仕事も部屋も見つかったのでもう世話にはなりません。 と伝えた。

しかし母親からは、どこにいるの何してるの内定先はどうするのと一気にまくし立てられたので嫌気がさしてそのまま電話を切った。

 

その後ショートメールが入っており、「お母さんは今日と明日仕事休みだから荷物取りにおいで。居場所は言わなくていいから。田舎のおばあちゃんからもお祝いが届いてるよ」と言われた。

 

これにはちょっと泣いてしまった。

親とはずっと仲が悪かったわけではなく今回の一件のトラブルだけで家出してしまったからだ。

 

しかし、5年前に家出したときは母親からお願いだから帰って来てと言われ帰宅したら父親に殴られるという経験をしたので、やはりのこのこ帰るわけにはいかない。

 

宅建の合格証明書とパスポート、製図板、建築法令集だけは取り返したいので必要になったら帰ろうとは思う。

 

 

この日は他にも電話が多かった。

 

朝の一件が落ち着き疲れて二度寝していたところ、昼頃にかかって来たのがジェイコム

 

賃貸契約したばかりなので何かの勧誘だろうと思い、それまでに5、6回ほど不在着信を無視し続けて来たが、鬱陶しいので一度断ってやろうと思い電話に出た。

 

物腰柔らかそうな男の人が、何度も電話をかけてしまいすみません、2,3分お時間大丈夫でしょうかと言った。

 

この時点で忙しいから無理ですと断ってやろうと思ったが、とりあえず不機嫌そうにはいと言った。

 

その後よく話を聞いていると、勧誘でなく新居のテレビがジェイコムのため引っ越し時に立会いが必要とのことだった。

 

引っ越しの荷物搬入やガスの立会いなども考慮して立会い日を決めてくれた上に、

新しくTVを買う話をしたらケーブル無料なので持っていきますねと言われ、

wi-fiについても無理な勧誘ではなく学割が使える旨だけ案内された。

 

何回も電話無視していたことをとても申し訳なく思った。

 

 

その後、バイト先に暇そうな時間を見計らって電話をかけた。

 

バイトの男の子が出たので、店長に代わってもらった。

 

やはり警察から前日電話があったようで心配された。

 

警察と何話したか聞くと

前々日に出勤していたことを話し、もし本人から連絡があったら警察まで伝えるように言われた、とのことだった。

 

店長には迷惑かけたことを謝り、家出していることだけ伝え、

次の出勤はちゃんと行きます、と言って切った。

 

雀荘の店長を長年やってきてこういうことも珍しくないのか、

そこまで驚いた様子もなく少し心配そうなだけで助かった。

 

 

夕方になり、夕飯の買い物に行こうとしたところで、前日面接してもらった会社から面接合格の連絡があった。

いつから働ける?と聞かれたがとりあえず4/1で、と答え了承してもらい、

また必要なものは連絡すると言われ終わった。

 

こんなにあっさりと新しい仕事は決まってしまうのかと拍子抜けする。

 

この日は電話が多かったものの家にいただけなので料理くらいは頑張ろうと

夜はちょっと気合いを入れてバターチキンカレーを作った。

 

-1500円

 

 

 

 

12日目

昼から面接があった。

 

大学の同期に紹介してもらった会社で、小さい事務所だがホワイト。

仕事内容もやりたかった仕事に近い。

 

ポートフォリオ制作が間に合わず今までの作品をコンビニでコピーしただけのものと

履歴書を持って行った。

 

部長と言われる人と面接し、facetimeで社長とも繋がれた。

部長も社長も見た目も若いしapple製品をバリバリ仕事に使っていたので

若い会社だと感じた。

 

しかし、紹介してくれた同期が内定先辞退の件や親とのトラブルの話を事前にしていたらしく、あまりいい印象を持たれていないように感じた。

また履歴書に書いた志望理由を否定するようなことを言われ、これは落ちたなと思った。

 

帰って夜までふて寝してたら同期から受かったらしいと連絡が来た。

とりあえずは仕事が決まった。

 

夜は適当にパスタを作って食べた。

 

翌日の朝気がついたが、auの落し物スマホ捜索サービスでこの日の夜と翌日の朝

居場所を捜索されていた。親にウィークリーマンションの場所が割れてしまった。